アンドレイの辺りから涙が止まらなかった。
挿入歌の「もう何も怖くない、怖くはない」が流れた辺りでまた込み上げてくるものがあった。アンドレイの死に様は、ひどく納得がいくものだった。彼はきっと、父と母に胸を張って逢っていることだろう。
でも、隊長のことは、到底納得などできない。
確かに、全人類の4割がイノベ化した世界などで彼が平穏に暮らしてゆけるだろうとはなかなか思えない。融和政策で世界はますます軍縮へ向かい、加えてイノベ化した世界では、争いは忌避されてゆくだろうし。
けれど、彼はそれほど頑なでもない。
きっと、彼の愛して已まない空に居場所を見つけて、いつまでも心ゆくまで翔び続けることだろう。
そう、思いたいのに。
私の中では彼は歪んだままだ。
延ばしたてのひらは、届かなかった…
今も視界は曇ったままだ